バーゼル〜ルツェルン(ピラトす鉄道)><ルツェルン〜ルガーノ(ウイルアムテルエキスプレス)><ティラノ〜クール(ベルにナ急行


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最新版ヨーロッパ周遊記 BY RAIL(2001.10) PART1

COPY BY KUROGI IZUMI

大韓航空でフランクフルトの第2ターミナルに到着しました。ここから友人の住むカッセルにICEで移動する為にフランクフルト空港駅に向います。フランクフルトの空港駅は第1ターミナルの真向かい(直結)にあり、第2ターミナルからは駅行きの無料バスを利用します(所要時間約10分)。私は預け荷物が無かったのでフライト到着から1時間で列車への乗り換えが出来ましたが、預け荷物がある場合には目安として以下の(乗り換え)所要時間が必要だと思われます。

             第1ターミナル着(LH, TGなど) 1時間〜1時間半
             第2ターミナル着(JL, KL, AF, CX, KEなど) 1時間半〜2時間

フランクフルトの空港駅は市内などに向う近郊線(Sバーン)が地下ホーム、ICE, EC, ICは地上ホームを利用しています。又、地上ホームには1等客専用のラウンジもあり、1等のユーレイルパスやジャーマンレイルパス, 区間乗車券などを所持していれば利用が可能です。ラウンジは斬新な北欧風のインテリアで、非常に優雅な雰囲気。仕事をする人の為のビジネスコーナーや会議室、バーカウンターなどもあり、航空会社のラウンジのようです。同様のラウンジがフランクフルト中央駅, ケルン, ハノーバー, ライプチヒなどにも設置されており、今後も様々な駅に設置される予定です。

ドイツのICEはヨーロッパの数ある列車の中でも快適さに定評がある列車です。特に1等の座席は1車両に48席(日本の新幹線のグリーン車は標準で68席)で非常に広々。各座席前には個人用テレビもあり(一部無い席もあります)、音楽4チャンネルとテレビ2チャンネルも楽しめます。また1等の乗客は食堂車のメニューを座席でオーダーする事も可能です(テーブルをセットした後に食事を食堂車から運んできます)ので、至れり尽せりです。私はコーヒー(DEM5=約300円)を頼みましたが、ちゃんとカップに入った割と美味しいコーヒーでした。食堂車は雰囲気も良く、前菜からデザートまでメニューも豊富ですので、時間があれば食事をしてみるのもお勧めです。



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最新版ヨーロッパ周遊記 BY RAIL(2001.10) PART2

COPY BY KUROGI IZUMI

ドイツ国鉄が誇る高速列車ICEで今回の最初の目的地カッセルに到着しました。カッセルはフランクフルトからベルリンやハンブルグに行くICEが必ず停まる都市で(FRAからICEで1h30)、メルヘン街道のほぼ真中に位置します。グリム兄弟が30年程暮らしていたグリム童話ゆかりの町で、5年に一度開かれる現代美術の祭典「ドクメンタ」の開催地としても有名です。

とは言え日本人にとってはかなりマイナーな町なのですが、壮大なスケールのヘラクレス(山をまるごと使った仕掛け庭園?)や数多くの博物館・美術館など見所も沢山あります。また時の支配者が自分の趣味のちゃんばらの為に建てたという2分の1スケールの“なんちゃって城”は必見です。数世紀がたった今となっては重要文化財なのですが、かなり笑えます。

友人との短いカッセル滞在を終え、Kassel Wilhelmshohe駅からケルンに向けIRに乗り込みます。IR(InterRegio)は地域間の急行列車で、スイスやイタリアでも運行されています。ドイツ以外の国で運行されているIRは基本的には座席予約が入りませんが、ドイツのIRは座席予約が可能です。このカッセル発の便の1等はオープンサロンが殆ど予約で満席でしたので、コンパートメントに座りました。列車自体は古いのですが、内装はICE風に改装されていて快適です。

Hammという町でICEに乗り換えてケルンを目指します。この列車はケルンに23:39着ということもあり乗客も疎らでした。1等の個人用テレビではアメリカのコメディー映画(ドイツ語吹替え)とバスケットの試合が放送されていました。途中にドイツ国鉄や沿線都市の観光局のCMが入ったりして、なかなか見応えがあります。また映画が終わると旅番組(スペインのマヨルカ島特集)が始まりましたが、提供はルフトハンザでした。とにかく暇つぶしには事欠きません。

ケルンに到着後、バーゼル行きの寝台に乗り込みます。西ヨーロッパのEU諸国内ではパスポートコントロールが無いのですが、この列車はスイス行きですので、予め車掌に鉄道パスと寝台予約券, パスポートを預けます。この寝台列車はAMS-CGN-BSLと運行されているもので、同クシェットの中で私以外はAMSから乗り込んだオランダ人5人でした。パーティーの後らしく部屋の中には酒の匂いが立ち込めていました....。

寝台列車は結構揺れるのですが、揺れが丁度眠りを誘うのか、毎度直ぐに眠ってしまいます。この日も長時間の列車の旅で疲れていたこともあり、深い眠りについていました。その深い眠りを破ったのは、朝05:30の車掌のノック。シーツと枕カバーを集めにやってきました。かなり頭がボケている中、ベットをシートに直して、朝食を頂きます。最近は多くの寝台列車が朝食付になって嬉しいのですが、あまりに早いので誰も食べません。

バーゼルはスイス, ドイツ, フランスの3ヶ国の国境が接する町で、ドイツ国鉄の駅(Basel Bad)とスイス国鉄&フランス国鉄の駅(Basel SBB)の2つの駅があります。この寝台列車はBasel Badでパスポートコントロールの為に15分程停車した後、約5分で終点のBasel SBBに到着しました。さっきまでは駅の表示も全てドイツ国鉄(DB)のもので停まっている列車も殆どがDBの白や地味な色の列車だったのに、約5分走っただけで全ての表示がスイス国鉄(SBB)のものになりホームに並ぶ列車もSBBの真っ赤な列車が殆どです。当たり前の事なのですが、非常に新鮮な感じがしました。


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最新版ヨーロッパ周遊記 BY RAIL(2001.10) PART3 

10/8(月) バーゼル〜ルツェルン〜(ピラトゥス鉄道)〜ルツェルン

朝も早いのにバーゼルの駅は人でごった返しています。私の乗るルツェルン行の普通列車は隣のホームに既に停まっていました。私たちの旅行は「どれだけ多くの列車に乗れるか」というテーマに基いてスケジュールを組んでしまう為に、どうしても乗り換え時間が5分〜10分という場合が多々あります。勿論イタリアなどでは列車の遅延が頻繁に起こってしまう為に最低30分の乗り換え時間を取りますが、ここは定時出発率世界一を誇るスイス.....という訳で今回の旅行は10分以内の乗り換えが6回。幸いリュックにもなる小さなソフト・スーツケースでしたが、やっぱり大変です。直ぐにホームに貼ってある黄色の紙で出発便のホームの番号を確認します。

ヨーロッパの多くの国の駅では、その駅を発着する便の一覧表(朝から夜までの全ての便の詳細とホームの番号)が出発便は黄色、到着便は白で表示してあり、ホームや通路などに貼られています。またECやIC, TGVなどが発着するホームには発着便の列車の編成図が貼ってあって、予め自分の乗る車両の停車する位置(1等の禁煙席はホームの「C」の表示の右側付近など)を知ることも出来ます。ヨーロッパは鉄道先進国と言われますが、身障者への配慮やこういったサービスなどを見ていると確かにうなずけます。

さてルツェルン行の普通列車はまだ暗い中を進んでいきます。周りには一面靄がかかっていますが、夜明けと共に幻想的な雰囲気を醸し出しています。早起きして電車に乗るのは辛いのですが、このような景色に出会うと「早起きは三文の得」という言葉の意味を実感します。完全に夜が明けた頃、ようやくルツェルンに到着しました。ここから5分の乗り換えでピラトゥス鉄道が発着するAlpnachstadという駅に向います(所要時間17分)。この路線はルツェルンからインターラーケンへ向う列車が通る路線で、スイス国鉄で唯一の1m幅の線路を走ります。その為に列車の幅も自ずと狭くなり、1等と言えども結構窮屈です(インターラーケンまでの直通列車は車幅の広い車両を使用しています)。

ピラトゥス鉄道の駅は、国鉄の駅から徒歩20秒。ここから世界最高の勾配を登る列車に乗り込みます。龍が住むというピラトゥス山まではこの列車の他、ルツェルンからロープウェーとゴンドラを乗り継いで来ることも可能です。又、これら3つの乗り物がセットになった周遊チケットも販売されており、スイスパス類を所持していれば、チケット売場で簡単に割引料金でチケットを購入出来ます。さてこの列車ですが、「凄い !! 」の一言です。勾配率48%という凄まじい斜面を自力で登っていきます。深い森を抜けたかと思うと突然視界が開けたり、急斜面の岩の山肌にへばり付くように進んでいったりと、片時も目が離せません。約40分で山頂の展望台に到着しますが、あっと言う間でした。

展望台からは美しいルツェルン湖と湖畔に広がる古都ルツェルンの街並が一望できます。山頂にはホテルもあり、ホテルのオープンカフェでは贅沢な景色を眺めながらのティータイムを過ごすことも可能です。しかしながら、全く持って時間の余裕が無い私は山頂滞在を5分で満喫した後、ゴンドラで山を下ります。さすがに早い時間帯なので下山する人がいないのか、お客は私一人(登りのゴンドラは満員)。おまけに山頂で出たたくさんのゴミを搭載した巨大なゴミ箱と一緒です。スリリングな約6分間のゴンドラの旅を終え、ゴミ箱を運び出すのを手伝って、次はロープウェーに乗り換えです。30分掛けてルツェルンまで下るのですが、登山列車とゴンドラの後ですのでスリリングさには欠けます(景色はまあまあです)。

終点からルツェルン中心部までは市バス(No.1)で約5分。列車→登山列車→ゴンドラ→ロープウェー→バスの周遊で所要時間約2時間半の旅でした。最初の列車の部分を船(スイスパスでカバー)に変更することも可能ですし、(私の経験から)私と逆周りの方が段々とスリルを味わう感じで良いのではないかと思います。山頂のカフェでのんびり物思いに耽るのも良し、ゴンドラの乗換駅の隣にある“リュージュ(ボブスレーのような乗り物です)”のコースで遊ぶも良し、のんびりとハイキングしながら下山しても良し...ルツェルンで1日間フリーの日があれば、のんびりとピラトゥス山を訪ねてみてはいかがでしょうか?

10/8(月) ルツェルン〜(ウィリアムテル・エキスプレス)〜ルガノ

ピラトゥス山のスリリングな体験を終え、再びルツェルンの街に戻ってきました。ルツェルンはコンパクトですが風情のあって可愛らしい街です。日本人にとってはヨーロッパ挙式のメッカですが、それも肯ける気がします。湖畔に広がる均整の取れた街並や街のシンボルであるカペル橋、リゾート地ならではの解放的な雰囲気が旅の気分を盛り上げてくれます。

ルツェルンの駅は大きな地下街もある一大ターミナル駅です。又、駅前には市バスのターミナルや船のターミナルも隣接し、交通の便は抜群です。これはスイスの街に共通して言えることで、スイスの街は何処に行っても列車からポストバス、バスから船といった乗り換えが非常に簡単です。それは各交通機関(国鉄・私鉄・登山列車・ロープウェー・ポストバス・市電・連絡船など)がSwiss Travel System(STS)というグループを形成し、互いのスケジュールを調整するなどして利便性を図っているためです。スイスは国鉄1社が国内の鉄道需要の殆どを占める他のヨーロッパの国々とは異なり、主要幹線=国鉄,地方路線&観光路線=私鉄で運行されています。よって早くから国鉄と私鉄や他の交通機関との連携体制が取られ、初めて訪れる旅行者にとっても使いやすいシステムになっています。実際にスイスパスはSTSの交通機関で共通に使え、鉄道だけではなく長距離バスや船, 各都市の市電やバスなども乗ることが出来ます。知れば知る程に使い勝手の良いパスです。

さて外輪船とパノラマ車がセットになった「ウィリアムテル・エクスプレス」はルツェルン駅前の1番埠頭から出発します。まずチケット売場で日本で発券したチケットを出して、パンフレットとミールクーポンを受け取ります。この船は定期便を兼ねていますので、湖沿いの村々に住んでいる人やリゾートに向う観光客で溢れていますが、ウィリアムテル・エクスプレス(WTE)の乗客はまず2階席(1等)に向います。階段を上ると眺めの良いオープンダイニングのレストランがあり、係員が迎えてくれます。ここでチケットを見せて、自分のテーブルに案内してもらいますが、スーツケースなどの大きな荷物は別の場所で預かってくれます。船内はレトロな感じで、旅気分も盛り上がります。WTEの料金には3コースのランチとパノラマ車の指定料, 通信費が含まれていますが、飲物は別ですのでまず飲物をオーダーします。ここでは日本では入手困難(スイス政府が輸出を制限しているため)なスイスワインがお勧めです。

ゆっくりと景色が流れていく中、コースランチが始まりました。今日のメニューは、ティチーノ風ミネストローネ, 仔牛肉のロースト&季節野菜のソテー,アイスクリーム・タルト。“料理も感動するほど美味しかったです”とのコメントは出来ませんが、流れ行く景色と雰囲気は最高です。約1時間程のランチを楽しんだ後、甲板に出て爽やかな風を感じながら、引き続き優雅な船旅を満喫します。ヘップバーンが2度の挙式を上げた小さな湖畔リゾートや花で彩られた可愛らしい村々に停まって乗客を降ろしたり乗せたりしながら船は進んでいきます。北欧のフィヨルドのように幅の狭い湖の左右には高く切り立った山が迫っていて、段々畑にはブドウが実り、緑の丘では牛が草を食んでいます。毎日あくせく働いている日々からは想像できない程、時間はゆっくりと優雅に過ぎていきます。すっかり日本での生活や仕事の事も忘れ、身も心も癒された3時間半の船旅でした。

終点のフリューレンの船着場から国鉄フリューレン駅までは徒歩30秒。本当に便利の一言に尽きます。ここで約20分程の待ち合わせの後、ルガノへ向うパノラマ車に乗車します。3番ホームに着いた列車は先頭車両のみがWTE用の1等パノラマ車で、残りの車両は普通の車両が連結されたICです。列車が出発すると車掌が検札にやってきて、「This is from WilhelmTell Express」と満点の笑みを浮かべながら、WTEの乗車記念品(WTEロゴ入りのVictorinoxの十得ナイフ)をくれました。こういう所はスイスの鉄道会社には関心します。登山列車に乗った時も、検札に来た車掌がパスを返す際に「Have a nice journey」と笑顔で接してましたし、観光業で成り立っている国だけに観光客の扱いがピカ1です。勿論スイス人の穏やかな気質もあるんでしょうけど。まー隣国のおフランスには言葉の分からない旅行者へ冷たい車掌も多いので、やっぱりスイスは何を取っても凄い部分が多いと思います。

列車は深い谷間を走っていきます。ダイナミックな滝の横を通ったり、高い橋を渡ったりと変化に富んだ景観ルートを通りながら、イタリア語圏に入ります。町の感じも人の顔(濃さ)も植物までもイタリアっぽくなった所で、ルガノに到着です。ルツェルンではコートを着ている人も多かったのに、ここでは半袖も多く(正直言って半袖では寒いと思うのですが)、同じスイスと言えども別世界。駅を出ると正面にはルガノ湖がばーん。お洒落リゾートへ乗り込みます。

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10/9(火) ルガノ〜(ベルニナバス)〜ティラノ

ルガノは開放的な南欧リゾートです。私たちがスイスに抱くイメージとは異なり、降り注ぐ太陽に咲き乱れる季節の花々、オープンカフェに陽気なイタリア語が飛び交う街。全てがイタリア的なのですが、それにスイス的な要素(表現し難いのですが..)が加わり、洗練された雰囲気です。日本人にはまだまだマイナーですが、“ヨーロピアン・リゾートの正統派”という感じで超お勧めです。

正にスイスは様々な文化圏が交わる国で、共通語だけで4つあります。通常、スイス国鉄はドイツ語名の頭文字を取って「SBB」と称しますが、フランス語圏では「CFF」、イタリア語圏では「FFS」と呼ばれています。日本では駅の名前は「JR大阪駅」「阪急梅田駅」という感じに運行鉄道会社別になっていますが、スイスでは同じ国鉄の駅でも、ドイツ語圏のチューリッヒでは「SBB Zurich」、フランス語圏のジュネーブでは「CFF Geneve」、イタリア語圏内のルガノでは「FFS Lugano」となります。ちなみに各々の言語の境界線の町では、町自体の名前は2つあります。ドイツ語とフランス語の境界線の町ビール/ビエンヌ(Biel/Bienne)の駅には「SBB/CFF Biel/Bienne」と表示が出ています。又、各言語圏を走り抜けるICやECでは、3ヶ国語+英語でのアナウンスも珍しくありませんが、ローカル線では基本的にその地域の言語のみとなります。しかしながら言語の境界線を越えた途端、アナウンスの言語も変わります。喋れるんだったら、最初から2ヶ国語でアナウンスすればいいと思うのですがいかがでしょう?

さてルガノから「ベルニナバス」でティラノを目指します。バスターミナルは駅の隣にあり、市バスやポストバス(もともとは郵便配達のついでに乗客を運んでいたのですが、現在はスイス国内の長距離バスを指します)もここを発着しています。出発時間の10分前にお待ちかねの「ベルニナバス」がやってきました....と思ったら、普通の観光バスに「Bernina Express」と書いた紙(「○○高校ご一行様」みたいな)が出してあるだけ。少し旅情を削がれた気がしますが、再度気持ちを高めて出発です。

バスはルガノの街を抜けると、ルガノを見下ろす山の急な斜面を爆走して行きます。30分程走った所で、スイスからイタリアに突入します。何を隠そうこのルガノ/ティラノ間のベルニナバスは残りの2時間強は全てイタリア国内。殆どイタリアのみを走っていくにも関わらず、スイスパスは使用できますが、イタリアのパスではカバーしません(スイスの鉄道会社が運行している為)。

1車線しか無い細い道路をバスはクラクションを鳴らしながら爆走し続けます。多少怖い気もしますが、景色は最高です。絶対に日本人は来ないような幾つもの湖畔の小さなリゾートや湖を見下ろす高台を走っていきます。列車の旅ばかりしていますので、たまにはバスも新鮮で良いものです。

走り始めて約2時間で、トイレ休憩の為にドライブインに停まります。喉も乾いていますが、ここはイタリア。イタリアリラが無いと飲物も買えません。バスはここからミラノからティラノへ向う列車の線路と平行して走る道路に突入しました。ここからの景色がまた興味深く、左右に見える山々の中腹(200m位だと思います)だけに家々が密集していて、その下には家が全く無いという不思議な光景。またかなりの傾斜ですので、中腹まで上っていく道路もかなりジグザグしています。昔に外部からの敵の侵入を防ぐ意味があったのかもしれませんが、一見非常に住み難そうな感じがします。

そうこうしている間にティラノに到着です。このティラノにはイタリア国鉄の駅とレーティッシュ鉄道(RhB:スイス最大の私鉄)の駅が広場に面してあり、RhBの駅構内だけがスイス領です。その為にこのRhB駅構内に出入りする際にはパスポートコントロールがあります。とは言え、ジュースを買いに駅の外に出たり、暇つぶしに出たりしますので、その度にスイスとEUとの国境を行き来します。密かに貴重な体験です。先ほどのドライブインではイタリアの通貨が無い為に何も買えませんでしたが、このティラノの駅前に幾つもあるレストラン(オープンカフェで雰囲気もGoodです)はイタリアリラの他、スイスフランやドイツマルクも使用出来ますので、せっかくなのでランチにパスタを食べました。本場イタリアのパスタの筈でしたが、超マズ...。気を取り直して、ベルニナ特急の旅へ向います。

10/9(火) ティラノ〜(ベルニナ特急)〜クール

「スイスの有名列車」と聞いて、まず殆どの方が思い出すのが「氷河特急」ではないかと思います。日本のパッケージツアーでも使用されますし、かなり人気の高い列車です。しかしながら実は氷河特急から氷河を見ることは出来ません(新しいルートが氷河の横を通らなくなった為)。もちろん氷河特急の路線はアルプスを堪能するには十二分ですが、氷河のダイナミックな景色を堪能するなら、お勧めは「ベルニナ特急」。世界5大景観列車にも選ばれたこの路線は3つの氷河を間近で見れるだけでなく、ループ橋やヘアピンカーブなど見せ場が短時間に次々やってくる超お勧めルートなのです。

始発のティラノ駅には右のホームにクール行きのベルニナ特急500便、左にはサンモリッツ行きの478便が停まっていました。どちらの便とも1等・2等の車両がありますが、500便は1等・2等共に全席が新しいパノラマ車、一方478便は従来からの古いタイプの車両を使用しています。又、478便は2等車両のみがベルニナ特急で、1等は普通列車扱い。その為に2等のみ座席予約可という変則的な運行です。日本人観光客はサンモリッツに滞在することが多いことから478便を利用することが多いのですが、同じ金額を払って車両は雲泥の差。500便はサンモリッツを通らないルートで運行されていますが、サンモリッツの隣村のポントレジーナには停車し、そこからサンモリッツまでは乗り継ぎ列車で約10分。実際に私が乗った500便の乗客の多くもポントレジーナで下車してサンモリッツへの乗り継ぎ便を利用していました。パノラマ車は窓が開かない事から普通車両を好む写真好きの方もいらっしゃいますが、ティラノ駅で並ぶ両列車はあまりに違い過ぎます。どうしても写真が撮りたい...そんな人以外は500便(下りは501便)がお勧めです。

《運行スケジュール(2000年夏季スケジュール)》
500便 ティラノ(14:50)/ポントレジーナ(16:47)/クール(18:49)
478便 ティラノ(15:11)/サンモリッツ(17:48)

さてクール行きの500便は先に説明いたしましたが、1等・2等共にパノラマ車という嬉しい列車です。昨年2000年に導入されたばかりのピカピカの列車は、木目を基調とした北欧風の内装で、センス抜群です。1等はシートが総革張り、2等もシート自体は布張りながら頭の部分は革張りです。大きな荷物を置く所もちゃんと車内にあり、旅行者への配慮も感じられます。

列車は定刻にティラノを出発しました。聞いてはいたのですが、本当に民家の軒先をかすめて走っていきます。列車というよりは路面電車の趣きで、家の窓辺に干してある洗濯物に手が届きそうな距離です。この驚きも5分程で、すぐにイタリアとスイスの本来の国境駅に到着します。ですが、ベルニナ特急の魅力がここから次々に出てきますので、まずはカメラのフィルムの枚数をここで確認しておきます。

直ぐに現れるのが、列車が360度回転するループ橋。くるり回転しながら高度を上げていきます。このベルニナ線は他の登山列車とは異なり、ラックレール式(通常の線路では斜面を登れない為に使用される噛み合せ式の線路)ではありませんので、このように円を描いて螺旋状に走ることで標高差を克服する方法やジグザグと180度のターンを何度も繰り返して高度を上げていく方法が随所に見られます。またこの鉄道会社は「出来る限りトンネルを掘らない」方針のようで、その為にダイナミックな車窓の風景を存分に楽しむことが出来ます。

ポスキアーボ湖を越えた所から列車は何度もヘアピンターンを繰り返しながら山を登っていきます。同じ風景が右になったり左になったりと忙しい区間です。ここを過ぎると突然左側にバリュー氷河が現れます。非常に近い距離の所を走っていくので、迫力満点です。割と氷河が見えている時間は長いのですが、構図を決めかねている間に終了...という訳で迫力満点の写真は撮れず終いでした。ですが、がっかりすることなかれ。直ぐに次の氷河がやってきます。

お次は氷河が溶け出した白濁色の水をたたえる神秘的な湖「ラゴ・ビアンコ」のバックに堂々としたカンブレナ氷河。一度で二度美味しい車窓が楽しめます。ここを過ぎるとひと時の休息時間(少し景色が単調になります)。車内販売でコーヒーでも買って、一休みしましょう。この車内販売は鉄道会社ではなく、Passaggioという食堂車や車内販売が専門の会社が行なっています。飲物やサンドイッチ程度の食べ物の他に、ベルニナ特急グッズも販売しています。ちなみにこの会社は氷河特急の食堂車も運営しています。

ベルニナ線最後の見所は、これまた大迫力のモルテラッシュ氷河。ティラノを出発してから、ここまでわずか2時間弱。洗濯物から始まったベルニナ特急は3つの氷河や神秘的な湖、数々のヘアピンカーブやループ橋など盛り沢山で、せっかく予約した座席にも殆ど座っていない状態でした。パノラマ車は窓が開かない為に写真が撮り難いのですが、出入り口付近の窓は完全に開く事が多いですので問題ありません。

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