ヨーロッパを鉄道で旅する楽しさがわかる!トラベルライター

ゆかりさんは旅行とカメラが趣味の、名古屋で働く会社員。
1週間弱の長期休暇を利用して「スイス」「ドイツ」の2カ国を鉄道で旅しました。
旅慣れたゆかりさんがお伝えする鉄道旅に外せないポイント、鉄道旅のQ&Aは文字通り目からウロコ。
車内の様子や、「世界の車窓から」に顔負けの風景、いつか行ってみたい街情報を、
鮮明な写真と分かりやすいコラムでまとめてくれました。

旅の歩み
Report.1 ヨーロッパで鉄道旅をイチオシする5つの理由
陸続きのヨーロッパ大陸では「鉄道の旅」がおすすめです♪
私が鉄道旅をオススメする5つの理由をご紹介します!!
駅は街の中心地に位置、着いたら即観光へGO!

鉄道駅のほとんどは街の中心地にあるのでとても便利。 周辺には、ホテル・レストラン・ショッピング施設等も充実しているため、効率良く市内を周ることができます。飛行機は速度そのものは速いけれど、騒音など周辺住民への配慮から郊外にあることが多く、到着後はバス・電車を使って市内まで移動しなくてはなりません。
帰りも市内から空港へ戻り、出発の2・3時間前からチェックインや荷物検査を受けなければならない手間が加わることを考えれば、その差は歴然!
また、 ユーレイルパス等の鉄道乗り放題チケット(周遊券)を持っている場合、毎回駅で切符を買う手間まで省くことができるので、発車時刻ぎりぎりまで観光が可能です。日本と異なり駅に改札が無いので、荷物を持ってそのまま車内に乗り込むだけです。飛行機と比べると、 自由に使える時間をより長く確保することが出来ます。

車内は日本並み、または 日本以上の快適さ

ヨーロッパの鉄道は快適そのもの♪ 何度も利用しましたが、乗車していて不便に思うことはありませんでした。1等車は、このようにまっすぐ足を伸ばせるような、ゆったりした座席間隔です。ヨーロッパ人は大柄な人も多い為、座席間隔・シートの大きさが全体的に余裕を持った造りになっていて、コスパを重視するならば2等車でも特に問題無し。2等車は1等車よりは乗客が多いものの、それでも満席で座れないことは無かったですね。

また、長距離鉄道または観光列車では、車内にトイレ・レストラン等も完備されています。荷物置場にスーツケースを置き、車内を探検してみるのも面白いですよ♪

意外と時間に正確!!

旅行中、スイスとドイツの鉄道を利用しましたが、どちらの国も「分」単位で時間に正確だったので、予定を変更させられることなく旅を終えることが出来ました。3分以上遅れたことは一度も無かったと思います。普段から時間に正確な電車に乗り慣れている日本人にとって、これは有り難いですね。 注意:稀に路線工事などの影響で、30分前後ダイヤが変更されることもあります。
また便が運休になってしまった時は、後続便に振り替えてもらうため、焦らずチケットを持って窓口へ行きましょう。

気分次第で途中下車

飛行機ですと上空で通り過ぎてしまうような、線路沿いにある郊外の小さな街にも、鉄道なら気分次第でふら~っと立ち寄ることができます。
また、たいていの鉄道は経由駅に数分ほど停車するので、発車を待っている間にサッと駅のホームに降り立ち、新鮮な空気を吸って深呼吸したり、写真を撮ったりしても楽しいですよ♪

気分は「世界の車窓から」♪ 素敵な車窓風景

車窓からの眺めは、何処を切り取っても絵になる光景です。
とりわけスイスの景観列車(シーニックトレイン)からの景色はかなりおすすめ!
単なる移動手段ではなく、
氷河急行ベルニナ急行ゴールデンパスラインのように、
“乗ることそのもの”が旅の目的となっている鉄道もあります。

Report.2 スイスの魅力を凝縮!ゴールデンパスライン乗車

鉄道大国のスイスには、広大な景色を車窓から楽しめる、旅行者向けの鉄道がたくさんあります。
今回の旅のハイライトは、スイスの絶景列車のうちの1つである「ゴールデンパスライン」!!!
ルツェルンからモントルーまで、3つの鉄道会社の路線を乗継ぎながらスイス中央部を横断する、全長約200kmを越えるルートです。有名な氷河急行ベルニナ急行と並び、観光客に人気を博しています。

道中は3つの峠を越え、美しい8つの湖のそばを通り、乗換え時間も含めると約5時間半のショートトリップです♪ 私鉄3社の共同運用線のため、何度か乗換えが必要ですが、各社それぞれ趣向の違う内装の車両が楽しめ、3倍おいしいルートになっています!観光客がより景色を楽しめるよう、列車の速度はゆっくり。そのためシャッターチャンスは沢山あります。

ルツェルン~インターラーケン間 この景色を見ずしてスイスの鉄道は語れない?!絶景 NO.1☆

沿線には、 ルツェルン湖、サルネン湖、ルンゲルン湖…といった数多くの氷河湖が続き、背後には雄大なスイスアルプスがそびえています。目まぐるしく風景が変わっていく為、常時 感動が止まりません!

ツヴァイジンメン~モントルー間 パノラマ車両から見える景色は迫力満点!展望 NO.1☆

この区間は、
◆ パノラマ展望車「パノラミック」
◆ 内装が豪華でオリエント急行仕様の「クラシック」
の2種類の車両が運行されていますが、おすすめはパノラミック。ゴールデンパス・ラインは、世界で初めてパノラマ仕様の大きな窓を備えた鉄道運行を始め、まさにパノラマの「先駆者」的な存在です。

視界を遮るものは、窓ガラスと窓ガラスを繋いでいる接合部分の柱のみで、車両側面に“壁”はほぼ無いといっても過言ではありません。窓は天井近くまで広がっているため、視界がグンと広がり、スイスの絶景を存分に楽しむことができます。私が乗車したのは3月下旬だったので、暖かい春の日差しが車内に降り注いでいました。

このパノラミック車両には、1等車の中でもさらにトクベツな、パノラマ「VIP席」が存在します。 先頭車両の先端部分にわずか8席しかない為、夏のオンシーズンは予約争奪戦です。運転手の視点で前面展望を楽しむことができるという、まさにVIP待遇! 私も乗車してみました。

四方八方窓なので、夏など日差しの強い時期は、帽子やサングラスがあるとより快適で過ごしやすいですよ~!
日焼け止めも用意していおけば完璧ですね。笑

また、この区間は車体のデザインもオシャレで、側面に「GOLDEN PASS」の文字がキラリと光ります。“乗ってきました感”(笑)がある車両はこの区間のみなので、乗車前もしくは下車後に、駅のホームから「撮り鉄」するのも楽しいですよ☆
駅に停車している鉄道達を観察していると、これ以外にもさまざまなパターンのデザインがあるので、自分が乗る鉄道がどれに当たるかは行ってみてからのお楽しみ♪

ユーレイルパスやスイスパス等の周遊券をお持ちの方は、運賃が100%カバーできるので、ここは存分にパスを活用しちゃいましょう♪
私は、ルツェルンからモントルーまで一気に駆け抜けましたが、 途中下車して乗換駅のインターラーケン、ツヴァイジンメンを観光してみたり、ブリエンツの登山列車に乗ったり、ちょっと足を伸ばして名峰ユングフラウヨッホに向かうこともできます。
また、発着点が国際空港のあるチューリヒやジュネーブに近いので、周辺アクセスも良し!
ゴールデンパスラインの旅は、スイス鉄道の楽しさがギュッと詰まったゴールデンルートなのです☆

Report.3 移動時間も思い出に♪車窓から見えるスイスの景色

スイス鉄道の車窓から眺めることのできる景色は、何処を切り取っても絵になります。
「移動」も楽しむのがスイス流♪移りゆく景色を眺め、次なる目的地へ思いを馳せながら、一人旅でぼーっと物思いにふけるのも良し!友人との旅ならトークに花を咲かせるのも良し!
単なる移動手段に止まらず、 “乗ることそのもの”が旅の目的になっていることが、スイス鉄道の特徴です。

まずは、景色を楽しむことを目的とする景観列車(シーニックトレイン)の車窓から♪
景観列車のうちの1つである「ゴールデンパスライン」に乗車すると、こんな絶景を見ることができます。

インターラーケン~シュピーツ

インターラーケン~シュピーツ間では、トゥーン湖を見ることができ、背後には雄大なスイスアルプスを望むことができます。

時折、小さな村を通り抜けます。素朴な木のぬくもりが感じられる、スイスらしい民家ですね。基本的に車両の窓は開きませんが、景観列車の場合、一部窓が開けられる車両もあります。

シュピーツ〜ツヴァイジンメン~モントルー
シャフハウゼン~チューリッヒ

シャフハウゼン~チューリヒ間では、ヨーロッパ随一の水量を誇る名瀑、ラインの滝のそばを通ります。シャフハウゼンを出発後、5分も経たないうちに視界左側に見えてきます。必ず進行方向左側に座りましょう♪ヨーロッパの鉄道は座席がゆったりしており、シートもふかふかで乗り心地も快適♪身体を休めつつ、移動時間も旅の思い出を作りましょう!

Report.4 おとぎの国のような街並みが可愛い、スイス アッペンツェル

アッペンツェルはスイス東北部に位置し、ドイツ、オーストリアの国境にも近い小さな街です。アッペンツェルへは、アッペンツェル鉄道(Appenzeller Bahnen)の利用が一般的です。私は、ザンクトガレンから日帰りで観光しました。

複数の国に行きたいときは…
国境沿いにある、気になる街を見つけてみましょう!大きな街から電車を乗り換えていける可能性があるので、自分だけの旅行を計画できます♪  

ザングトガレン~アッペンツェルまでの鉄道旅

この電車は鉄道に加え「トラム」の要素も兼ね備えています。
出発直後の市内中心部は路面電車。郊外の田舎道に差し掛かっても、車道にピッタリ寄り添うかのように線路がくっついていて、車と列車の距離がかなり近くてビックリしました。
車道を走る乗用車を追い抜きながら列車は進み続け、あっという間にアッペンツェルへ到着。片道約45分の楽しいショートトリップでした。

アッペンツェルの見どころ

アッペンツェルのグルメ

日本でもよく食べられているチーズフォンデュは、アルプス山岳部を発祥とするスイスを代表する郷土料理。寒い冬にぴったりです♪ 日本人も、おでんや鍋料理を夏にあまり食べないように、チーズフォンデュを提供しているのは冬の時期だけ、というレストランもあります。スイスでは各地方で様々なチーズが生産されており、アッペンツェラーチーズ(Appenzeller Cheese)もスイスチーズの代表格のうちの1つです。

チーズ大好きな私は、レストラン兼ホテルの「Cafe Adler」に行ってみました。レストランは地下部分にあり、山小屋風の内装。店員さんが過去にこの店に訪れた日本人客と文通した手紙を、嬉しそうに見せてくれました。
スイスでチーズフォンデュを食べるのは始めてだったので、食べ方からレクチャーしてもらいました。チーズの本場とあって、コクのある深い味わいです。日本のチーズフォンデュよりも白ワインが効いているので、大人の味、といった感じです。この日は終日生憎のお天気でしたが、可愛い街並みや、地元の方々の優しさに触れられて、大満足の1Day Tripでした。
近隣の都市を訪れる際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか♪

スイスと周辺諸国を合わせて満喫しよう!!スイスと他の国を旅する時に便利なパス
スイスを存分に満喫しよう!! スイスだけを旅する時に便利なパス
Report.5 旅の疑問・不安を一挙に解決!鉄道旅 Q&A

ヨーロッパを鉄道で旅してくるという話を友人にすると、「いいね!」と言われることが多いもの。
一方で自分だったら不安かも…という声も多く聞かれました。
興味はあれど、なかなか海外旅に踏み込めないあなたに、鉄道旅の気になる疑問・不安をQ&A形式で紹介いたします。

国内はいいけれど、海外の鉄道旅ってなんだか難しそう。添乗員無しでも大丈夫なの?
個人旅行の場合、自分の力だけで迷うこと無く乗車できるのか?目的地まで辿り着けるのか?という不安が誰しもあります。
駅は多くの観光客が利用する場所なので、外国人客に対する配慮から様々な工夫が施されています。
日本語表記がある駅はほぼ皆無ですが、視覚的に意味が分かる看板・標識が設置されています。
迷うこともありますが住民も慣れているのか、基本的に嫌な顔をされることはなく、親身になって教えてくれる人も多いです。
キョロキョロしていると、向こうから「何か困っていることはない?」と話しかけてくれることも何度かありました。語学力に不安がある方は、当日慌てることのないよう、出発前に予め鉄道チケットの予約・購入をしておいたり、ユーレイルパス等の周遊券を購入すると、毎回駅の窓口で切符を買う手間を省くことができます。
スーツケース等の荷物を自分で運ぶのは大変じゃないの?

女性はなにかと荷物が多くなるので大変な部分があります。しかし観光中もずっと荷物を持っているとじゃまになるので駅のコインロッカーをうまく使いましょう。
私もスーツケースを預けて身軽になっていました。主要駅にはかなりの確率でロッカーが完備されています。

今回の旅で田舎の小さな村々に立ち寄ったので、ロッカーが無い、またはサイズが小さすぎて荷物が入らないこともありました。そんな場合、駅の売店(Kiosk等)や、駅前のお店の店員さんに頼んで、一時的にスーツケースを預かってもらいました。
鍵は必ず掛け、貴重品は入れないほうが賢明です。
オフシーズンだと景色が寂しいのでは?

出発前不安要素の1つでしたが、実際に乗車すると3月でも車窓からみる景色は緑いっぱいでその不安はなくなりました。
人気区間は夏のオンシーズンでは予約で一杯になることもありますが、これがオフシーズンとなると状況が一変。とりわけ1等車はびっくりするほど空いています。
区間によっては、乗り込んだ車両に乗客は私1人のみ、ということもしばしばありました。

2等車は1等車よりは乗客が多いものの、それでも満席では無かったです。
そして、乗客が少ないことの最大の利点は、写真撮影と景色を存分に楽しめることです。残念ながら、絶景は片側に全部固まってはくれません(笑)そんな場合でも、車両がガラガラなので、一時的に反対側にさっと移動して写真を撮ることが可能です。
予約無しで乗車でき、眺めのいい窓側の席に座れ、かつ途中で席の移動が自由にできるのは、オフシーズンの特権といえるでしょう。
「旅」と「鉄道」を掛け合わせれば、ヨーロッパ旅がより楽しいものになりますよ♪ヨーロッパで途中下車をしながら、鉄道旅をするならユーレイルパスの利用がおすすめです。

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